感染症予防及びまん延防止のための指針
R6.03版
有限会社暖家
デイサービスだんけ
1.総則
通所介護事業者等には、通所者の健康と安全を守るための支援が求められている。通所者の安全管理の観点から感染対策は、きわめて重要であり、通所者の安全確保は施設の責務であることから、感染を未然に防止し、感染症が発生した場合、拡大しないよう可及的速やかに対応する体制を構築することが必要である。
この指針は、感染予防・再発防止対策及び集団感染事例発生時の適切な対応等施設における感染予防対策体制を確立し、適切かつ安全で、質の高い支援の提供を図ることを目的とする。
2.感染管理体制
(1)感染対策委員会の設置
ア 目的
施設における感染管理活動の基本となる組織として、感染対策委員会を設置する。感染対策委員会は、以下のような役割を担う。
① 施設の課題を集約し、感染対策の方針・計画を定め実践を推進する。
② 決定事項や具体的対策を施設全体に周知するための窓口となる。
③ 施設における問題を把握し、問題意識を共有・解決する場となる。
④ 感染症が発生した場合、指揮の役割を担う。
イ 感染対策委員会の構成
感染対策委員会は、次に掲げる者で構成する(カッコ内は担当分野)。
① 管理者: 廣部智美(看護職員兼務)
② 看護職員: 山口千秋 ※感染対策担当者
⑤ 介護職員: 佐川晃子
⑥ 生活相談員: 宮上和陽
⑧ その他管理者が必要と認める者(施設外の専門家等)
※ 感染対策担当者
上記の中から感染対策担当者は看護職員を指名する。
感染対策担当者は、施設内の感染症発生の予防及びまん延の防止のための具体的な原案を作成し、感染対策委員会に提案する。なお、感染対策担当者は他業務との兼務を可とする。
※ 外部専門家
施設外の感染管理等の専門家(感染症医、感染管理認定看護師等)、感染対策に詳しい人材に協力を求めることも重要。
ウ 感染対策委員会の活動内容
感染対策委員会は、委員長の召集により感染対策委員会を定例開催(6ヶ月毎に1回)に加えて、地域で感染症が増加している場合や施設内で感染症発生の疑いがある場合等は、必要に応じ随時開催する。
委員会では、「感染症の予防」と「感染症発生時の対応(まん延防止等)」のために必要な次に掲げる事項について審議する。
なお、委員会での議論の結果や決定事項については、すみやかに職員に周知を図る。
① 施設内感染対策の立案
② 感染に関する最新の情報を把握し、指針・マニュアル等の作成及び見直し
③ 施設内感染対策に関する、職員への研修の企画及び実施
④ 新通所者の感染症の既往の把握
⑤ 通所者・職員の健康状態の把握
⑥ 感染症発生時における感染対策及び拡大防止の指揮
⑦ 各係での感染対策実施状況の把握と評価、改善を要する点の検討
(2)マニュアルの実践と遵守
作成したマニュアルを日常の業務の中で、遵守、徹底するために、次の点に配慮する。
① 職員全員がマニュアルの内容を確実に理解すること。業務を委託している場合は、委託先の従業員にも内容を周知する。
② そのため、職員(委託先の従業員も含む)を対象とした定期的講習会や研修を開催すること等により、周知徹底する。
③ 関係各所の職員全員に提示する。
④ 日常業務の際、必要な時に参照できるように、いつも手に取りやすい場所に置く。
⑤ 記載内容は、読みやすく、わかりやすく工夫し、現場で使いやすくする。
⑥ 実践をイメージした訓練の実施や会議等を通して、記載内容が現実に実践できることであるかを確認する。
⑥ 遵守状況を定期的に確認(自己確認、相互確認)する。
平常時から、感染症発生時の関係者の連絡網を整備するとともに、関係者が参加して発生を想定した訓練を行い、一連の手順を確認しておく。例えば、介護職員による異常の発見から看護職員、医師への報告、管理者への報告、さらに管理者から行政への報告、保健所への連絡等の「報告・連絡系統」を確認するとともに、管理者や医師、保健所等の指示に基づく現場での対応方法についても、現場で訓練を行いながらの確認などを実施する。
(3)職員研修の実施
当施設の職員に対し、感染対策の基本的内容等の適切な知識を普及・啓発するとともに、衛生管理の徹底や衛生的なケアの励行を目的とした「感染症の予防及びまん延の防止のための研修」を感染対策委員会の企画により、以下の通り実施する。
ア 新規採用者に対する研修
新規採用時に、感染対策の重要性と標準予防策に関する教育を行う。
イ 全職員を対象とした定期的研修
全職員を対象に、別に感染対策委員会が作成するカリキュラムに基づき定期的な研修を年2回以上実施する。
ウ 委託業者を対象とした研修
調理、清掃等の業務委託を受けて実施する者について、本指針の周知を目的とした講習会を実施する。
(4)訓練
感染者発生時において迅速に行動できるよう、発生時の対応を定めた本指針及び研修内容に基づき、全職員を対象に年2回以上の訓練を実施する。
内容は、役割分担の確認や、感染対策をした上での支援の演習などを実施するものとする。
訓練方法は、机上訓練と実地訓練を組み合わせながら実施する。訓練の企画、運営、実施記録の作成は、感染対策委員会が実施する。
訓練内容の詳細(開催日時、実施方法、内容等)は、訓練1か月前に、全職員に周知する。
(5)その他
ア 記録の保管
感染対策委員会の開催記録等、施設内における感染対策に関する諸記録は保管する。
3.日常の支援にかかる感染管理(平常時の対策)
(1)入居者の健康管理
看護職員を中心に、通所者の健康を管理するために必要な対策を講じる。
高齢者は感染症に感染すると重症化するリスクがあるため、標準的な予防に取り組みつつ感染症が発生した場合は拡大を防止することが重要となるため、早期発見及び適切かつ迅速な対応を行うこととする。
① 通所時における健康状態及び感染症に関する既往歴、ワクチン接種歴について把握する。
② 通所者の日常を観察し、体調の把握に努め、通常と異なる症状が認められた場合は、看護職員または医師に報告する。
③ 通所者の体調、様子などを共有する方法を構築する。
④ 通所者に対し、感染対策の方法を説明し感染対策への理解を促す。
⑤ 通所者や家族の感染対策実施状況を把握し、不足している対策を支援する。
(2)職員の健康管理
管理者又は事務長を中心に、職員の健康を管理するために必要な対策を講じる。
高齢者介護施設の職員は、施設の外部との接触の機会を通じ、施設に病原体を持ち込む可能性があることを認識する必要がある。特に、介護職員や看護職員等は、日々の業務において、入居者と密接に接触する機会が多く、通所者間の病原体の媒介者となるおそれもあることから、健康管理が重要となる。
① 入職時の感染症(水痘、麻しん、風しん、流行性耳下腺炎及びB形肝炎)の既往やワクチン接種の状況を把握する。
② 定期健診の必要性を説明し、受診勧奨を行い、確実な受診を促す。
③ 職員の体調把握に努めるとともに職員の家族が感染症に感染した場合の相談体制を整える。
④ 体調不良時の連絡方法を周知し、申告しやすい環境を整える。
⑤ 研修等を通して職員自身が日頃から自分の健康管理に注意を払うよう啓発を行う。
⑥ 職員の感染に対する知識を評価し、不足している部分に対し、教育、指導する。
⑦ ワクチン接種の必要性を説明し、接種を推奨するとともに積極的に、ワクチン接種の機会を提供し、円滑な接種がなされるよう配慮する。
⑧ 職員が業務において感染症の感染リスクがあった場合の報告体制及び医師への適切な処置を仰ぐ体制を整える。
(3)標準的な感染予防策
看護職員を中心に、標準的な感染予防策の実施に必要な対策を講じる。
ア 介護・看護ケアにおける感染予防策
① 手指衛生の実施状況(方法、タイミングなど)を評価し、適切な方法を教育、指導する。
② 個人防護具の使用状況(ケアの内容に応じた防護具の選択、着脱方法など)を評価し、適切な方法を教育、指導する。
③ 食事介助時の対応を確認し、適切な方法を指導する。
④ 排泄介助時の対応を確認し、適切な方法を指導する。
⑤ 医療処置時の対応を確認し、適切な方法を指導する。
⑥ 上記以外の支援時の対応を確認し、適切な方法を指導する。
イ 通所者の感染予防策
① 食事前後、排泄後を中心に、できるかぎり日常的な手洗い習慣が継続できるよう支援する。
② 手指を清潔に保つために必要な支援について検討し、実施する。認知症等により清潔行為の実施が難しい場合は、手洗いの介助、ウェットティッシュ等による拭き取り等を行う。
③ 共用物品の使用状況を把握し、清潔に管理する。
ウ 衛生資材の備蓄
① 十分な必要物品(アルコール、マスク、手袋、ガウン、フェイスシールド等)を確保し、管理する。
(4)衛生管理
看護職員を中心に、衛生管理に必要な対策を講じる。
ア 環境整備
① 施設内の環境を清潔に保つため整理整頓、清掃を計画的に実施し、実施状況を評価する。
② 換気の状況(方法や時間)を把握し、評価する。
③ 共用部分の床やトイレ、浴室等は特に丁寧に清掃、消毒を計画的に実施し、実施状況を評価する。
④ 汚物処理室の清掃、消毒を計画的に実施し、実施状況を評価する。
⑤ 効果的な環境整備について、教育、指導する。
イ 食品衛生
① 食品の入手、保管状況を確認し、評価する。
② 調理工程の衛生状況を確認し、評価する。
③ 環境調査の結果を確認する。
④ 調理職員の衛生状況を確認する。
⑤ 課題を検討し、対策を講じる。
⑥ 衛生的に調理できるよう、教育、指導する。
ウ 血液・体液・排泄物等の処理。
① ケアごとの標準予防策を策定し、周知する。
② 標準予防策について指導する。
③ 適切な血液・体液・排泄物等の処理方法について、教育、指導する。
④ 処理方法、処理状況を確認する。
4.発生時の対応
(1)感染症の発生状況の把握
感染症や食中毒が発生した場合や、それが疑われる状況が生じた場合には、以下の手順に従って報告する。
① 職員が通所者の健康管理上、感染症や、食中毒を疑ったときは、速やかに通所者と職員の症状の有無(発生した日時、階及び居室ごとにまとめる)について別に定める様式によって施設長に報告する。
② 管理者は、感染症や食中毒が発生した場合や、それが疑われる状況について報告を受けた場合は、施設内の職員に必要な指示を行う。またその内容が、地域保健所等への報告に該当する時は、受診状況と診断名、検査、治療の内容等について別に定める様式によって報告するとともに、関係機関と連携を図る。
(2)感染拡大の防止
職員は感染症若しくは食中毒が発生したとき、又はそれが疑われる状況が生じたと
きは、拡大を防止するため速やかに以下の事項に従って対応する。
ア 介護職員
① 発生時は、手洗いや手指の消毒、排泄物・嘔吐物の適切な処理を徹底し、職員を媒介して感染を拡大させることのないよう、特に注意を払う。
② 看護職員の指示を仰ぎ、必要に応じて施設内の消毒を行う。
③ 看護職員の指示に基づき、必要に応じて感染した入居者の隔離などを行う。
④ 別に定めるマニュアルに従い、個別の感染対策を実施する。
イ 看護職員
① 感染症若しくは食中毒が発生したとき、又はそれが疑われる状況が生じたときは、被害を最小限とするために、職員へ適切な指示を出し、速やかに対応する。
② 感染症の病原体で汚染された機械・器具・環境の消毒・減菌は、適切かつ迅速に行い、汚染拡散を防止する。
③ 消毒薬は、対象病原体を考慮した適切な消毒薬を選択する。
ウ 管理者あるいは法人代表
① 協力病院や保健所に相談し、技術的な応援を依頼するとともに指示をうける。
② 感染状況を本人へ説明し、感染対策(マスクの着用、手指衛生、行動制限など)の協力を依頼する。
③ 感染者及び感染疑い者と接触した関係者(職員、家族など)の体調を確認する。
④ 職員の感染対策の状況を確認し、感染対策の徹底を促す。
(3)かかりつけ医・協力医療機関や保健所、行政関係機関との連携
管理者、法人代表必要な関係機関との連携について対策を講じる。
ア かかりつけ医・協力医療機関との連携
① 感染者及び感染疑い者の状態を報告し、対応方法を確認する。
② 診療の協力を依頼する。
③ かかりつけ医・協力医療機関からの指示内容を施設・事業所等内で共有する。
イ 保健所との連携
① 疾病の種類、発生状況により報告を検討する。
② 感染者及び感染疑い者の状況(人数、症状、施設における対応状況等)を報告し、指示を確認する。
③ 保健所からの指導内容を正しく全職員に共有する。
ウ 市町村等の行政関係機関との連携
① 報告の必要性について検討する。
② 感染者及び感染疑い者の状況の報告し、指示を確認する。
(4)関係者への連絡
管理者、法人代表を中心に、関係先との情報共有や連携について対策を講じる。
① 施設・事業所等、法人内での情報共有体制を構築、整備する。
② 通所者家族や保護者との情報共有体制を構築、整備する。
③ 関係する介護保険事業所等との情報共有体制を構築、整備する。
④ 出入り業者との情報共有体制を構築、整備する。
(5)感染者発生後の支援
管理者、法人代表を中心に、感染者の支援(心のケアなど)について対策を講じる。
① 感染者及び感染疑い者の病状や予後を把握し、看護職員に適宜報告し対応方法を確認する。
② 感染者及び関係者の精神的ケアについて、関係機関と連携しケアに努める。
<附則>
本方針は、2024年3月1日から適用する。
以上